エレミアの哀歌
タリス・スコラーズ マーキュリー・ミュージックエンタテインメント マーキュリー・ミュージックエンタテインメント フェラボスコ(1世)
グリーンスリーヴス幻想曲~ヴォーン・ウィリアムズ:作品集
マリナー(サー・ネヴィル) ユニバーサル ミュージック クラシック ユニバーサル ミュージック クラシック マリナー(サー・ネヴィル)
癒しを超えた安らぎ
近年,「癒し」をテーマにしたCDが多く製作・販売されている。誰もが疲れきった時代状況と世相のようなものを反映しているのだろう。
この1枚もそうしたカテゴリーにいれらることが多い。
しかし,私は,単なる「癒し」や「逃避」ではない真の安らぎの音楽をこのCDの中から見出すことができる。
このCDを聞く人は,ゲーンズボロやターナーのような英国の画家たちの風景画を思い浮かべるかもしれない。
かつて恋人と一緒に歩いた公園や野山を思い出すかもしれない。
グリーンスリーブスのメロディやトーマス・タリスの旋律に目のあたりがちょっと熱くなってしまう人もいるかもしれない。
それは,ある種のほろ苦さを伴うものだ。
しかし,単なる甘えのための音楽ではなく,人生の節目を過ぎて成熟を迎えた人々にとっての真の安らぎを感じさせる音楽がここにはある。それは,隠し味として甘さとは対照的なものが満遍なく溶け込まされているものだが,そうした隠し味があってこそ人にとって本当に大事なものの意味を知ることができるのだろう。
マリナー指揮によるアカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズの演奏は,これらの曲の数ある名演奏の中でもとびぬけて秀逸なものではないかと思う。
幻想的な世界へ
『グリーンスリーヴス』は一度は耳にされた方も多いのではないでしょうか?そのオーケストラヴァージョンが収録されているのですが、ハープやフルートの音色がとても涼やかで幻想的で、うっとりと聞き惚れてしまいます。ぜひともオーケストラで聴きたい、と思っていたので、とても嬉しかったです。他の曲も美しくて好きですが、やっぱり私のナンバーワンは『グリーンスリーヴス』です。
グリーンスリーヴス幻想曲
ニュー・クィーンズ・ホール管弦楽団 ポリドール ポリドール ニュー・クィーンズ・ホール管弦楽団
ニュー・クィーンズ・ホール管弦楽団のデビュー・レコード
ニュー・クィーンズ・ホール管弦楽団は、1992年に設立されたオーケストラ。
このオーケストラの構想は、20世紀初頭のオーケストラのサウンドを復元することにある。戦前の名匠ヘンリー・ウッドが率いていたオーケストラの名前を用いているのは、そうしたモットーの表れであろう。
1992年10月12日から14日にかけて行われた本録音は、この再出発したオーケストラの初録音となる。
ウッドが元気に指揮をしていた時代のイギリスのオーケストラの音色は、濃厚な味付けを好まなかったようで、弦楽器のヴィブラートがほとんど用いられていない。
しかし、ガット弦の響きは、押し付けがましさがなく、とても暖かい。
管楽器の音色も、そっけないほどに淡白だが、それがかえってしなびた味わいを醸し出し、ヴォーン=ウィリアムズの世界によく合う。
イスラエル生まれの名手ハゲイ・シャハムがソロを務める《ひばりは昇る》はとても美しい。
なつかしくて美しい弦の響き
この種のアルバムではマリナー指揮のアカデミー盤を長らく愛聴している。その録音は1970年代のアナログではあるが、ヴォーン=ウイリアムズにふさわしい、雰囲気のあるものだった。だが、デジタルの良い音でもと考えているところに出会ったのが、この演奏だった。ニュー・クイーンズ・ホール管弦楽団の音色は暖かくて魅力的だ。特に弦の響きが懐かしさをたたえていて、この作曲家にぴったりと言えよう。
収録曲では「グリーンスリーヴス幻想曲」が一番有名なのだが、「タリスの主題による幻想曲」と「富める人とラザロ」五つの異版をぜひ聴いてみてほしい。繰り返して聴きたくなるのは、これらの曲になるはずだ。中高生の頃、この二曲をウォークマンを聴きながら、夕映えのなか、母の里の田畑の畦道を散策したものだ。そのときほど、音楽と周りの世界とがベストマッチした経験はない。
赤レンガと樹皮の匂いのするイギリス民謡
20世紀初頭の楽器と奏法を復元して収録されたというディスク。しかし20世紀初頭というのは、たかだか100年前であり、その当時の奏法を研究して現代に収録されたディスクを聴くよりも、50年前に収録されたディスクを聴くほうがよほど「違い」が感じられるとは思う。全体に音楽への興味がそうした「学術的」な方向に傾倒しているため、面白みがないという点では否めない。しかし、ヴォーン・ウィリアムズの民謡を主題とした諸曲は、そうした「学術的」な方向と親和性があるのか、ある種の説得力はある演奏になっている。地味で生真面目な演奏が好きな方には楽しめるかも。
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